介護施設でインカムを使うメリット|自分の施設に合った選び方も解説
介護施設では、職員がそれぞれ異なる場所で利用者対応にあたるため、情報を素早く共有できる体制づくりが求められます。こうした課題への対応策として、離れた場所にいる職員同士でも連絡を取りやすいインカムの活用が注目されています。ただし、施設の広さや構造、職員数、業務内容によって適した機器や運用方法は変わります。導入を検討する際は、メリットに加えて注意点も把握しておくことが重要です。
当記事では、介護施設でインカムが必要とされる理由やメリット・デメリット、自施設に合った選び方を分かりやすく解説します。
介護施設でインカムが必要とされる理由
介護施設では、職員がそれぞれ別の場所で利用者対応にあたるため、必要な情報をその場で共有できる体制が重要です。人手不足が続く中、連絡のために職員を探したり、申し送り内容を確認するために移動したりすると、介護ケア以外の業務に時間を取られやすくなります。
インカムを活用すると、離れた場所にいる職員へすぐに連絡できるほか、複数人への一斉共有もしやすくなります。看護師への連絡や応援要請など、複数の職員が連携する場面でも情報を素早く届けられる点が特徴です。こうしたリアルタイムの情報共有によって、無駄な移動や待ち時間の削減、業務効率化が期待でき、利用者への対応をより円滑に進めることにもつながります。限られた人員で連携を図る上でも役立つ仕組みと言えるでしょう。
介護施設にインカムを導入するメリット
介護施設にインカムを導入すると、職員同士の情報共有がしやすくなり、移動や確認作業の削減、緊急時の迅速な連携につながります。ここでは、主な3つのメリットを解説します。
職員間のコミュニケーションが円滑になる
介護施設でインカムを導入すると、離れた場所にいる職員ともその場で連絡を取りやすくなり、職員間のコミュニケーションを円滑にできます。相手のいる場所まで移動したり、電話をかけたりする手間を抑えながら、申し送りや確認事項をリアルタイムで共有できる点がメリットです。
たとえば、利用者対応中の職員へ確認したいことがある場合も、インカムを通じてすぐに声を届けられます。複数の職員へ同時に情報を伝えられるため、誰がどの対応をしているかを共有しやすくなり、連携の行き違いを減らすことにもつながります。職員同士が状況を把握しながら、協力して業務を進めやすくなるでしょう。
無駄な移動や確認作業を減らしやすくなる
介護施設にインカムを導入すると、職員を探して施設内を移動したり、確認のために持ち場を離れたりする場面を減らしやすくなります。離れた場所にいる職員へその場で連絡できるため、情報共有にかかる時間を短縮し、介護ケアや利用者対応に充てる時間を確保しやすくなります。
入浴介助の終了予定を別の職員へ伝えたり、夜勤中のトラブル時にその場から応援を求めたりできます。職員同士がリアルタイムで状況を共有できれば、相手を探す移動や確認の往復を抑えられます。こうした移動や確認作業を積み重ねて減らすことで、業務効率化に加えて、職員の身体的・心理的な負担軽減にもつながるでしょう。
緊急時に複数の職員へ一斉に連絡できる
介護施設にインカムを導入すると、利用者の急変や転倒などの緊急時に、複数の職員へ一斉に状況を共有できます。近くにいる職員や看護師へその場で応援を求められるため、必要な人員を集めやすく、初動対応を進めやすい点がメリットです。
転倒を発見した職員が「3階で転倒がありました。応援をお願いします」と呼びかければ、周囲の職員が状況を把握して現場へ向かえます。その後も、利用者の状態や対応内容を共有しながら連携できるため、役割分担や次の対応も決めやすくなります。夜間や少人数体制の時間帯でも、離れた場所にいる職員へすぐに知らせられることで、迅速な対応につながるでしょう。
介護施設でインカムを使うデメリット
介護施設でインカムを活用すると、情報共有や業務効率化に役立つ一方、費用や装着時の負担も生じます。ここでは、導入前に確認したい主なデメリットを解説します。
導入費用やランニングコストがかかる
介護施設にインカムを導入する場合、本体やイヤホンマイク、充電器などの購入費用がかかります。利用する職員が多い施設では必要な台数も増えるため、初期費用が大きくなりやすい点がデメリットです。
また、通信方式によっては回線利用料が継続的に発生するほか、保守費用やバッテリー、イヤホンなど消耗品の交換費用がかかる場合もあります。24時間体制の施設では予備機を用意するケースもあり、その分だけ機器や周辺用品の費用も増えます。導入後も一定の維持費が発生するため、インカムの活用には継続的な費用負担が伴う点に注意が必要です。
装着時に不快感や痛みを覚える場合がある
介護施設でインカムを長時間使用すると、イヤホンの圧迫感や耳の痛み、違和感を覚える職員がいる場合があります。耳の形や感じ方には個人差があるため、同じ機器でも装着時の負担に差が生じます。介助で身体を動かす場面では、コードや本体が作業の邪魔になったり、車いすなどに触れたりすることもあります。
また、就業中に継続して装着すると、次第に不快感が強まり、集中しづらさにつながることもあります。複数人で機器を共有する場合は、肌に触れる部分の衛生面も気になる点です。こうした身体的な負担や作業への影響は、介護施設でインカムを使う際のデメリットと言えます。
介護施設に合うインカムの選び方
介護施設でインカムを選ぶ際は、施設の規模や構造、職員の使いやすさ、導入・運用にかかる費用を踏まえて比較することが重要です。ここでは、主な3つの選び方を解説します。
施設の規模や構造に合う通信方式で選ぶ
施設の規模や構造に合わせて、必要な通信距離を確保できる方式を選びましょう。特定小電力トランシーバーは100~200m程度、業務用簡易無線機は1~4km程度が通信距離の目安です。IP無線機は、携帯電話回線の通信エリア内で利用できます。
ワンフロアの小規模施設では特定小電力トランシーバー、多層階や別棟、屋外との連絡が必要な施設では業務用簡易無線機やIP無線機が候補になります。施設内で職員が実際に移動する範囲や、送迎時にも連絡するかを整理すると、必要な通信方式を判断しやすくなります。
導入前に通信範囲や使用感を試して選ぶ
介護施設でインカムを選ぶ際は、導入前に実際の施設内で通信範囲や使用感を試しておくことが重要です。建物の構造や壁の位置によって音声の届き方が変わるため、普段職員が移動する場所で問題なく通話できるか確認しましょう。
あわせて、イヤホンの圧迫感や本体の重さ、操作のしやすさ、音声の聞き取りやすさなども確認します。長時間装着する職員が負担を感じにくいかは、実際に使ってみると判断しやすくなります。無料デモやレンタルを活用し、複数の職員で試すことで、施設の環境と業務の両方に合う機種を選びましょう。
補助金やレンタルの活用も踏まえて選ぶ
介護施設でインカムを選ぶ際は、補助金やレンタルの活用も含めて費用負担を検討しましょう。自治体によっては、介護機器や見守り支援機器に伴う通信環境整備、介護業務支援システムの導入費用の一部を補助する事業があります。
東京都でも令和8年度に関連支援事業が案内されていますが、対象機器や申請条件、受付期間は事業ごとに異なります(※)。導入前に自治体の最新情報を確認することが重要です。例えば、東京都福祉保健財団の場合、見守り支援機器と一体的にインカムを使用することで導入費用が補助されます。
出典:東京都福祉保健財団「「次世代介護機器導入支援事業」、「次世代介護機器導入推進事業」、「パッケージ型導入支援事業(見守り支援機器及び通信環境の一体的整備事業)」に関するQ&A」
また、インカムは購入だけでなくレンタルで利用する方法もあります。必要な期間や台数、予算に合わせて比較すると、施設に合った導入方法を選びやすくなります。
※2026年8月時点で「令和8年度次世代介護機器導入促進支援事業」の受付は終了済
まとめ
介護施設でインカムを活用すると、離れた場所にいる職員同士で情報を共有しやすくなり、移動や確認作業の削減、緊急時の迅速な連携につながります。限られた人員で業務を進める介護現場において、職員間の連携を支える手段の1つと言えるでしょう。
一方で、本体や周辺機器の購入費用、通信料などのランニングコスト、長時間装着による負担が生じる場合もあります。導入する際は、施設の規模や構造に合った通信方式を選び、実際の施設内で通信範囲や装着感を確認することが重要です。補助金やレンタルも活用しながら、必要な台数や予算に合った導入方法を検討しましょう。






