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スプリアスとは、無線機や電子機器が本来必要な信号以外に発生させる不要な電波のことです。混信や電波利用環境の悪化につながるおそれがあるため、電波法ではスプリアス発射の強度に関する規格が定められています。しかし、旧スプリアス規格と新スプリアス規格の違いや、違反時の扱い、確認方法、対応手続きまで正確に理解できていない方も多いのではないでしょうか。

当記事では、スプリアスの基本から、電波法における規格の違い、無線機の確認方法、新スプリアス規格に対応するための主な手続きまで分かりやすく解説します。

 

スプリアスとは

スプリアスとは、機器が本来意図して出力する信号以外に発生する不要な信号成分のことです。電波法上は不要発射の一部として扱われ、帯域外発射とは区別されます。信号の性質によって、次の2種類に分けられます。

高調波スプリアス基本波の整数倍の周波数に現れるもの
非高調波スプリアスCPUクロックや電源のスイッチングパルスなどに由来し、基本波と整数比の関係にないもの

また、無線機や電子機器で周波数に関わる信号を扱う場合、必要な周波数の2倍や3倍などの不要成分が生じることがあり、電波として外部に出ると別の機器との混信につながります。発生を完全になくすことは難しいため、設計では発射強度を抑え、フィルタリングや回路構成の工夫で影響を小さくすることが重要です。距離が近い場合は弱いスプリアスでも受信されやすくなるため、周辺機器への配慮も求められます。

 

電波法におけるスプリアス規格

無線機のスプリアス規格は、電波法関連法令に基づいて不要発射の許容値が定められています。現在運用されている無線設備を正しく扱うためには、旧スプリアス規格と新スプリアス規格の違いを押さえておく必要があります。

 

旧スプリアス規格(電波法改正前規格)

旧スプリアス規格は、2005年12月1日に新スプリアス規格が導入される前の基準です。改正前の技術基準に沿って設計・運用されていた無線設備に適用されており、現在の基準と比べると、不要発射の管理は従来の考え方に基づいていました。

旧規格の無線設備には経過措置が設けられ、当初は2022年11月30日まで使用できるとされていました。しかし、設備製造や移行作業の遅れを受け、2021年8月の省令改正で使用期限は「当分の間」に延長されています。現在は、他の無線局の運用に妨害を与えないことを前提とした、条件付きでの運用が認められています。

出典:総務省電波利用ポータル「無線設備のスプリアス発射の強度の許容値」

出典:総務省「スプリアス発射とは」

 

新スプリアス規格(電波法改正後規格)

新スプリアス規格は、不要な電波をより厳しく抑えるために導入された改正後の基準です。世界無線通信会議で不要発射の許容値が見直されたことを受け、日本でも無線設備の技術基準が改正され、2005年12月1日から適用されました。旧スプリアス規格と比べて、混信防止や電波利用環境の維持を重視した内容となっており、不要発射の管理もより厳格です。

ただし、2005年12月1日から新たな許容値が適用されている一方で、旧規格の無線設備には経過措置が設けられており、対象設備や認証時期によって扱いが異なります。現在も無線利用環境の向上に向けて、新スプリアス規格への移行が基本方針とされています。

出典:総務省電波利用ポータル「無線設備のスプリアス発射の強度の許容値」

出典:総務省「スプリアス発射とは」

 

スプリアス規格を守らなかった場合の罰則

旧スプリアス規格の無線設備を使用期限や条件に反して運用すると電波法上の問題となる可能性があり、無免許・無登録で無線局を開設した場合には、電波法第110条により1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象となり得ます。スプリアスが基準を超えると、他の無線局の運用に妨害を与えるおそれがあるため、規格の順守は重要です。

ただし、旧スプリアス規格には適合しているものの、新スプリアス規格には適合していない無線設備については、新型コロナウイルス感染症の影響による設備製造や移行作業の遅れを踏まえ、2026年3月時点でも使用期限は当分の間延長されています。ただし、2022年12月1日以降は、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用が認められる扱いです。

 

無線機のスプリアス規格の確認方法

無線機のスプリアス規格が新スプリアス規格に適合しているかどうかは、総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」から確認できます。検索に使える情報として、以下が挙げられます。

  • 技術基準適合証明番号
  • 工事設計認証番号
  • 型式名
  • メーカー名
  • 認証年月日
  • 機関名
など

手元の無線機の認証情報を調べたい場合に便利で、検索結果や付属ファイルを確認すれば、新スプリアス規格への適合状況を判断する手がかりになります。購入前の確認や、中古機の適合状況を調べる際にも役立つ方法です。

 

新スプリアス規格に対応するための手続き方法

総務省のHPに無線機が掲載されていない場合の、新スプリアス規格への主な対応方法には、機器の買い換え、フィルタの挿入、実力値の測定があります。ここでは、それぞれの方法の概要を紹介します。

 

機器の更新に併せた買い換え

機器の更新に併せた買い換えは、現在使用している無線機を、新スプリアス規格に適合した無線機へ取り替える方法です。対応方法の中でも分かりやすく、確実性が高い方法と言えます。特に、現在の機器が老朽化している場合は、更新のタイミングで買い換えを進めると対応しやすくなります。

手続きとしては、総合通信局へ変更申請または変更届を提出する必要があり、機器の種類や変更内容によっては変更検査が必要になる場合もあります。費用はかかりますが、その後も安心して運用を続けやすい方法と言えるでしょう。新旧の機器を併用している場合は、一部だけを買い換えて対応できる可能性もあります。

出典:総務省「無線機器のスプリアス規格の変更に伴い規格にあった無線機器の運用が必要です」

 

送信機の出力端子と空中線との間にフィルタを挿入

送信機の出力端子と空中線との間にフィルタを挿入する方法は、現在使用している無線機を活用しながら新スプリアス規格に対応する方法です。特定の周波数以外の不要な信号を抑える外付けフィルタを設置することで、設備全体を新規格に適合する状態へ改修します。

手続きとしては、まず総合通信局へ変更申請を提出し、許可を受けた上でフィルタの設置工事とスプリアスの測定を行います。その後、工事完了届にスプリアス発射及び不要発射の強度確認届出書を添えて提出し、受理されることで継続使用が可能になります。

機器の買い換えなく対応できる点がメリットですが、工事後の測定と届出が必要になる点は押さえておきましょう。既存設備を生かしたい場合に検討しやすい方法です。

出典:総務省「無線機器のスプリアス規格の変更に伴い規格にあった無線機器の運用が必要です」

 

実力値の測定

実力値の測定は、現在使用している無線機器のスプリアスを実測し、新スプリアス規格に適合していることを確認して継続使用する方法です。測定したデータを確認届出書に記載し、総合通信局へ提出することで手続きが完了します。また、製造業者や業界団体の測定データにより適合が確認され、総務省ホームページで公表されている機器であれば、個別の測定を省略できる場合があります。

機器を買い換えずに対応できる可能性がある一方、適合確認には所定の条件を満たした測定と正確な届出が必要です。既存機器をできるだけ継続して使いたい場合に検討される方法であり、新規格に合致していれば設備更新の負担を抑えつつ対応できる点がメリットです。

出典:総務省「無線機器のスプリアス規格の変更に伴い規格にあった無線機器の運用が必要です」

 

まとめ

スプリアスは、無線機や電子機器が本来必要な信号以外に発生させる不要な電波です。混信や電波利用環境の悪化を防ぐためには、電波法に基づくスプリアス規格を正しく理解しておく必要があります。現在は新スプリアス規格への対応が基本方針とされており、機器の買い換え、フィルタの挿入、実力値の測定といった方法で対応が可能です。

機器の更新や手続きの負担をできるだけ抑えたい場合は、はじめから新スプリアス規格に適合した無線機を用意する方法も有効です。対応済みの無線機をスムーズに確保したい場合は、新スプリアス規格に適合した無線機をレンタルできるレントシーバーの活用をご検討ください。

 

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