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MCA無線とは?IP無線との違いや仕組み・メリットを解説

無線機にはさまざまな種類があり、それぞれ通信距離や向いている用途が異なります。そのうち、広域通信が可能な無線機の1つが、MCA無線です。通信制御を行う制御局を介して無線通信を行うことで、緊急時にも混線・回線の混雑が起こらず、全国通信が可能です。これらの特徴から、MCA無線は災害に強い無線と言われています。

この記事ではMCA無線の仕組みやIP無線との違い、MCA無線のメリット・デメリット、MCA無線の2つの種類について解説します。

 

MCA無線とは

MCA無線とは、周波数を効率的に利用するために開発された一般業務用の陸上移動無線システムのことです。

MCA無線は、相手方の無線機と直接電波のやりとりをせず、800MHz帯の周波数を多数のユーザーで共同利用する仕組みです。すべての通信は制御局を中継して行われ、制御局が空いているチャンネルを各ユーザーに割り当てられます。チャンネルがすべて使用されている場合は予約待ちの状態となり、空き次第通信チャンネルが自動的に割り当てられます。

 

MCA無線の特徴

MCA無線には以下のような特徴があります。

全国の端末と通信できる
MCA無線で利用する800MHz帯の電波は、全国の主要都市をカバーできる通信エリアを持っています。中継局が日本全国に設置されており、1つの中継局につき20km~40km程度のエリアをカバーできるため、契約内容によっては全国通信が可能です。
混線・回線の混雑が起こらない
MCA無線の中継局では、利用者に対して自動的に空きチャンネルを割り当てる形で通信を行うことから、混線や通信回線の混雑といったストレスがありません。ただし、限られたチャンネルをスムーズに振り分ける必要があるため、MCA無線の通信時間は1回につき3分~5分に制限されます。
使用には届け出が必要
MCA無線の使用時には届出が必要であるものの、ほかの一般業務用無線機とは異なり、無線免許や資格の取得は不要です。

MCA無線の申し込み手続きは、販売店に代理で行ってもらえます。また、MCA無線機はレンタルすることも可能です。

 

MCA無線とIP無線の違い

IP無線とは、携帯電話キャリアやWi-Fiの通信網を利用して通信を行う無線機です。中継所を経由せず、手軽に長距離無線通信を行えるメリットがあります。

MCA無線とIP無線はともに広域無線通信に適した無線通信手段であり、さまざまな共通点がある一方で、以下のような違いもあります。どちらの無線機も購入・レンタルが可能なため、使い分けがおすすめです。

MCA無線機
仕組み 全国の中継局経由で通信を行う
資格・免許など 資格は不要だが免許申請が必要
災害時のつながりやすさ ほかの公衆網からの接続がないためつながりやすい
IP無線機
仕組み 通信事業者のインターネット回線を利用して通信する
資格・免許など 資格・免許ともに不要
災害時のつながりやすさ 携帯電話網の混雑によりつながりにくくなる

IP無線機とは?特徴・活用シーン・注意点も紹介

 

MCA無線のメリット・デメリット

MCA無線は特に災害対策に向いた多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。メリットだけではなくデメリットについても知った上で、用途に応じた無線機選びをすることが大切です。

MCA無線のメリットとデメリットを紹介します。

 

MCA無線のメリット3つ

MCA無線の代表的なメリットは以下の3つです。

通信切断が起こりにくい

MCA無線の中継局では、同じユーザーコード同士でのみ無線通信を行うよう設定されているため、広域での無線通信でも混信や割り込みが起こりません。

またMCA無線は、24時間365日、東京の監視センターで有人によるネットワーク監視体制が敷かれています。災害発生などによって東京の監視センターが機能しなくなった場合でも、大阪の監視センターに切り替えられる仕組みができています。そのためネットワークが安定しており、通信切断が起こりにくい点がMCA無線の大きなメリットです。

災害時に輻輳が発生しにくい
災害発生時には多数の人が同時に通信を行うため、携帯電話などの場合は通信がシステムの処理能力を超えてしまい、電話がつながりにくくなります。しかし、MCA無線の場合は防災対策がしっかりした中継局を介して無線通信を行うため、災害時でも輻輳が極めて発生しにくく、安定した通信を行える点が大きなメリットです。
低コストで広域通信ができる
業務用無線機を広域で使用したい時、多くのケースでは独自の設備を複数設置する必要があり、コストが高くなります。一方、MCA無線の場合は中継局を共有して利用できるため、比較的低コストで広域通信が可能になる点がメリットの1つです。

 

MCA無線のデメリット2つ

MCA無線にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

地域によってはつながらない場合がある

MCA無線の中継局は全国に設置されており、北海道から沖縄まで通信が可能です。ただし、MCA無線の通信距離は中継局から20km~40km程度の範囲に限られます。郊外や山間部などのエリアはMCA無線の通信範囲外となる可能性があり、携帯電話感覚での通信はできないため注意しましょう。

また、MCA無線で利用できるのは契約している基地局の範囲内のみです。全国通信を行うためには、全国で使用できる契約オプションを付ける必要があります。利用できる基地局を増やせば、その分コストが増える点もデメリットと言えるでしょう。

音質が悪いケースがある
MCA無線は音質が悪いケースがあります。基本的にMCA無線は安定した無線通話が可能なものの、建物など大きな障害物があると、音声が小さくなる・声が途切れ途切れになる場合もあるため注意が必要です。

 

MCA無線の種類

MCA無線には従来のMCA無線であるmcAccess e(デジタルMCA無線)と、新しいMCA無線であるMCAアドバンスの2種類があります。mcAccess eとMCAアドバンスのそれぞれの特徴について、詳しく解説します。

 

mcAccess e(デジタルMCA無線)

mcAccess eは既存のMCA無線であり、一般財団法人移動無線センターが提供するMCA無線サービスです。中継局を介して通信し、指令局や移動局(車両・人など)を結びます。

mcAccess eの最大の特徴は災害時につながりやすい点です。24時間監視体制に加え、中継局は耐震構造となっており、非常用発電装置も装備しています。阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害時に活用された実績があり、災害に強い無線サービスとして国や地方自治体にも導入されているサービスです。

また、特定の相手との個別通信やグループ通信だけでなく、通信中の無線機すべてへの一斉通信や、2つのユーザーコードを利用した同時待ち受け通信などの機能が存在します。そのため、災害時の情報共有や指示の周知と言った目的で利用しやすいでしょう。

mcAccess eは通信料金が通話時間では変動せず、利用料は月額で定額となっています。

 

MCAアドバンス

MCAアドバンスとは、次世代の無線通信システムとして2021年4月より運用が開始されたサービスです。従来のMCA無線にLTEの技術を組み合わせて、MCA無線の堅牢性を保ちながらより高速の通信を可能にしています。

MCAアドバンスでは、音声連絡はもちろん、画像・映像のリアルタイム配信やチャットなどのデータ通信と言ったスマホアプリのような機能を使うことが可能です。また、全国への一斉通信も可能になっています。

また、MCAアドバンスは輻輳が発生しにくいMCA無線サービスのため、災害時でも安定した通信が可能です。MCAアドバンスの中継局は新耐震基準をクリアしているほか、非常用発電機も備えており、災害や停電にも強い通信サービスとなっています。

 

まとめ

MCA無線とは一般業務用の陸上移動無線システムです。相手方の無線機と直接電波のやりとりをせず、1つの周波数帯を多くの利用者が順番に使用する仕組みによって、効率的に無線通信が行えます。MCA無線は通信切断や輻輳が起こりにくく、低コストで通信が可能であるなど、災害時に役立つメリットがあります。

MCA無線と似た無線通信にはIP無線があり、どちらにもメリット・デメリットが存在するため、必要に応じて使い分けましょう。無線機をレンタルすれば、必要な状況で必要なタイプの無線機を利用できます。

レントシーバーは目的や用途に合わせて4つのプランをご用意しております。無線機のレンタルは、ぜひレントシーバーをご利用ください。

 

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