インカムアプリとは？インカムとの違いやメリット・デメリットを解説

無線機は多人数が同時に離れてコミュニケーションを取るのに向いており、スマートフォンの通話機能は個人と個人がやり取りするのに向いています。そのため、スマホの通話機能をそのまま無線機の代わりに利用することはできません。ただし、スマホにインカムアプリをインストールした場合は、スマホをインカムのように使い、多人数が双方向でコミュニケーションを行えます。

この記事では、インカムアプリと無線インカムの違いや、インカムアプリを利用するメリットやデメリットを解説します。

インカムアプリとは、スマホを業務用インカムや業務用トランシーバーの代わりにできるアプリのことです。

通常、インカムを利用するには無線機の購入やアンテナの設置などを行う必要があり、コストがかかります。また、使用する施設の規模などによってはインカムがつながらなくなったり、音質が悪くなったりするデメリットもあります。

一方、スマホのインカムアプリの場合、基本的に必要なアイテムはスマホとイヤホンマイクのみであり、コストがあまりかかりません。また、インターネットに接続できる環境があればどこにいてもつながるため、施設の規模などに関わらずインカムを利用できる特徴があります。

インカムアプリにはさまざまな種類があり、利用シーンに応じて適したスマホアプリのインストールが必要です。インカムアプリには大きく分けると有料アプリと無料アプリがあります。無料アプリを利用すればコストを抑えられますが、通話品質が低いケースがある点に注意が必要です。一方、有料アプリは無料アプリに比べて通話品質が安定しており、録音機能やテキストチャットといった追加機能を利用できるケースも多くあります。

インカムアプリと携帯電話の通話を比較すると、以下のような違いがあります。

インカムアプリの最大の特徴は、1対複数人のやりとりが可能となる点です。携帯電話通話は基本的に1対1のやりとりになり、複数人で同時通話をするには工夫が必要ですが、インカムアプリを使えば発信者から複数人に対して一斉に連絡できます。

また、携帯電話の場合は通話を始める前に相手側で通話を受ける操作が必要ですが、インカムアプリは発信者がボタンを押すだけで相手に音声を届けることが可能です。

インカムアプリと無線インカムには以下のような違いがあります。

無線インカムは飲食店やホテルといったサービス業、アミューズメント施設などさまざまな業種で導入されている便利なツールです。しかし、導入・管理にかかるコストや音質、免許取得の手間といったさまざまなデメリットを抱える通信方法でもあります。

一方、インカムアプリには無線インカムのデメリットをカバーできるさまざまなメリットがあります。この記事ではインカムアプリの主なメリットを4つ紹介しますので、参考にしてください。

無線インカムの利用には無線機やアンテナの購入代のほか、バッテリーなどの消耗品の買い替えや電波利用料といったランニングコストもかかります。また、無線インカムで使用する無線機は2年ほどで買い替える必要があり、劣化や故障が発生した際には追加費用の発生は避けられません。

一方、インカムアプリにかかる主な費用はスマホの本体料金と月額料金、アプリの料金の3点です。すでに社用スマホを導入している場合、新たに支払いが必要になるのはアプリの利用料のみであり、導入コストなどを抑えられる点が大きなメリットになります。

スマホがあれば誰でも手軽に使える点が、インカムアプリの大きなメリットです。インカムアプリは、スマホにインストールし、登録作業を行えばすぐに使用できます。新しい機器の操作性に慣れる必要がなく、普段使っているスマホで完結できる点が魅力です。

また、無線インカムを導入している職場の場合、業務で無線機とスマホの両方を持ち歩かざるを得ないケースがありますが、インカムアプリであればスマホのみで済みます。

無線インカムは障害物や距離の影響を受けやすく、通信品質が安定しにくい通信方法です。相手が別のフロアにいたり、通話距離は近いとしても間に壁があったりすると、音声が途切れることが珍しくありません。

一方、インカムアプリの通話品質は無線インカムに比べてよく、音声が途切れにくいのがメリットの1つです。インカムアプリの通話時の音声はクリアで、通常の通話機能の音質と大きな差はありません。

また、インターネットに接続できる範囲であれば安定した通信が可能であり、壁を隔てた場所や違うフロアにいる相手にも鮮明な音質で発信できます。多少の風や環境音がある場所から発信しても通話品質に影響がない点も大きなメリットです。

ただし、無料のインカムアプリは通話品質が安定していないケースがある点には注意が必要です。

簡易無線を使ったインカムを利用する際には、免許の取得や申請が必要になります。一方、インカムアプリの利用にあたっては、免許・資格の取得や利用申請などは必要ありません。誰でもインカムアプリをインストールでき、利用可能です。

特別な免許・資格の取得や面倒な事務手続きが必要ないため、労力や時間といったコストも節約できる点がインカムアプリの大きなメリットです。免許の更新が必要ない無線インカムを利用したい場合は、IP無線の利用がおすすめです。

インカムアプリにはさまざまなメリットがある一方、利用方法によってはデメリットに感じられる部分もあります。インカムアプリ導入を検討する際には、メリットだけではなくデメリットも確認して総合的に判断するとよいでしょう。

インカムアプリを利用する際に考えられるデメリットを2つ紹介します。

無線機とスマホでは、スマホのほうが耐久性で劣る点がインカムアプリのデメリットの1つです。

無線機にはスマホと比べて耐久性の高い製品が多く、高温下の作業や粉じん作業など過酷な環境でも動作に問題が起こらず、使いやすいという特徴があります。耐久性のレベルが製品ごとに明記されているため、仕事に必要な耐久性に応じて無線機を選ぶことが可能です。

また、テンキーなどの物理キーが備えられている無線機では、たとえ画面が割れたとしても無線機として使用を継続できます。ほかにも、無線機は水濡れに強く、雨天などで画面が濡れても動作に影響はありません。

一方、インカムアプリでは普通のスマホをインカム代わりに利用することから、水濡れや落下などの危険性がある使い方は基本的に推奨されません。耐久性の高い業務用スマホも存在するものの、一般的なスマホと比較して購入価格は高くなります。

また、インカムアプリはスマホに無線インカムとしての機能を加えるもののため、バッテリーの消費スピードが早くなります。無線機として連続使用している間に充電がなくなり、いざというときにスマホが使えないなどのトラブルが発生する可能性がある点に注意が必要です。

インカムアプリは、回線が混雑すると円滑に利用できないケースがあります。通常はスムーズに利用できるものの、災害が発生した際には携帯電話回線にアクセスが集中するため、インカムアプリにも影響が発生します。よって、緊急時の対応にインカムアプリは向きません。

また、イベントなどで人が密集するエリア内で使用する場合にもアクセス集中によるリスクがあります。したがって、大規模なイベントや災害対策としてインカムを導入したい場合には無線機を選ぶのがおすすめです。

インカムアプリと無線機にはそれぞれ異なる利点があるため、使用方法によって使い分けるとよいでしょう。

たとえば、インカム初心者の場合、まずはコストや手間を抑えやすいインカムアプリを利用するのも手段の1つです。インカムアプリでは機能が十分でなく、より幅広くインカムを活用したいと感じた場合は、無線インカムを利用するとよいでしょう。

ただし、無線インカムを購入する場合、導入コストやランニングコストがかかります。無線インカムを利用したいけれどコストを抑えたいという場合、また短期間・単発で無線インカムを活用したい場合は、無線機レンタルを利用するのもおすすめです。

無線機レンタルプラン – インカム・トランシーバーのレンタルならレントシーバー

インカムアプリをスマホにインストールすれば、スマホを業務用インカムや業務用トランシーバーのように利用できます。既に社用スマホを導入済みの場合はランニングコストが安く、手軽にインカムを使った業務を行えます。ほかにも、通話品質がよく、簡易無線のように免許の更新が必要ない点もインカムアプリのメリットです。

ただし、無線機と比べてスマホは耐久性やバッテリー持ちで劣るほか、災害が起こったとき・アクセスが集中したときには通話がつながりにくくなる点に注意してください。無線インカムとインカムアプリはそれぞれメリットとデメリットがあるため、業務に応じて使い分けるのがおすすめです。両方を揃えるのがコスト面で難しい場合は、レンタルを活用するとよいでしょう。