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デジタル簡易無線機の免許局とは?申請方法や登録局との違いも解説

無線機にはさまざまな種類があり、1~5kmの比較的長い距離の通信が必要な時に活躍するのがデジタル簡易無線機です。しかし、デジタル簡易無線機は免許局と登録局の2種があり、それぞれ使用できるチャンネル数や周波数、レンタルの可否などで違いがあります。またその種別によって免許申請または登録手続きが必要となります。

当記事では、デジタル簡易無線機を使用する際の免許局・登録局の申請方法について詳しく解説します。デジタル簡易無線の利用を検討している方はぜひ当記事を参考にしてください。

 

デジタル簡易無線とは?

デジタル簡易無線とは、デジタル通信を利用した無線設備の中でも、簡易無線用として開設される設備を指します。デジタル簡易無線は、イベント会場や警備業など幅広いシーンでの連絡手段として利用されることが多い無線機無線機です。

デジタル簡易無線の通信可能距離はおよそ1〜5kmです。通信可能距離は使用条件、環境により異なり、見通しがよい場所では10km程度でも通信できる可能性があります。一方で、遮蔽物が多い場合などは1km未満でも通信できないケースもあります。

現在、簡易無線にはアナログ簡易無線もありますが、音質や電波の効率的な利用が可能であることなど、性能面では全般的にデジタルのほうが優れています。そのため、アナログ簡易無線はその使用期限を令和6年11月30日までとして、デジタル簡易無線等への移行が進められています。

出典:総務省「簡易無線局のアナログ方式の周波数の使用期限延長について」

 

特定小電力トランシーバーとの違い

簡易的に利用できる無線の種類はさまざまです。無線機の種類として、デジタル簡易無線のほかには特定小電力トランシーバーがあります。

デジタル簡易無線はその使用にあたって手続きが必要ですが、特定小電力トランシーバーは安価で免許や登録もいらないため手軽に扱えます。

ただし、特定小電力トランシーバーは出力が小さく、通信可能距離が100〜300m程度と短いので、活用の機会が近距離での通信に限られるのが特徴です。店舗内でのやりとりなど100〜300m程度の通信で事足りる場合は、利用しやすい特定小電力トランシーバーが使われることが多いようです。

一方、デジタル簡易無線は、特定小電力トランシーバーでは通信できない長い距離で使用できるのが特徴です。大きな商業施設やゴルフ場など、広大な場所ではデジタル簡易無線が活躍します。

 

デジタル簡易無線の免許局・登録局とは?

デジタル簡易無線には「免許局」と「登録局」の2種類があり、それぞれ運用ルールが異なります。免許局と登録局の区別は、名前だけではよくわからないかもしれませんね。ここでは2つの無線局の違いやメリット・デメリットを解説します。

 

免許局

免許局は名前の通り、開設にあたり電波法で定められた「免許が必要な無線局」です。無線局は、それぞれ利用できる用途やチャンネル数など運用ルールが異なります。免許局の特徴は以下の通りです。

用途
  • 業務利用(レジャー使用不可)
  • 主に法人・団体・個人事業主での使用が可能
レンタルの可否
  • レンタル不可
  • 免許人(申請した法人・団体)に所属している人のみが使用可能
チャンネル数
  • デジタルUHF帯の65chおよびデジタルVHF帯の19ch・9ch
周波数帯
  • デジタルUHF帯の467MHz帯およびデジタルVHF帯の154MHz帯
キャリアセンスの搭載の要不要
  • 不要

キャリアセンスとは混線防止のための機能で、同じ周波数帯で基準値以上の電波を受信しているときに、該当する周波数帯での送信を禁止する仕組みを指します。

免許局は業務に利用することを考えられているため利用者が厳しく制限されており、だれでも簡単に使用できるような自由度は高くありません。一方、登録局とは異なる周波数帯でチャンネル数が多く、キャリアセンスによる通信制限もないため、通信がスムーズにつながり安定しやすいのが特長です。

 

登録局

登録局の使用には、電波法に定められた免許は必要ありませんが、登録と開設届の提出が必要です。登録局の特徴は以下の通りです。

用途
  • 業務用・レジャー用の両方に利用可能
  • 個人でも申請可能
レンタルの可否
  • レンタル可能
  • 申請者以外でも利用可能
チャンネル数
  • デジタルUHF帯の30ch・5ch
周波数
  • 351MHz帯
キャリアセンス搭載の要不要
  • 必要

登録局は免許局と比べてレンタル利用が認められるなど誰でも簡単に利用できる手軽さがありますが、チャンネル数が少ないため混信しやすかったり、キャリアセンスによる送信制限がかかる可能性もあります。そのため、幅広い用途で手軽に使えるものの、通信が混線したり途切れたりする可能性があるのが特徴です。

 

デジタル簡易無線(免許局)の免許を申請するには?

デジタル簡易無線の免許申請には、必要書類の提出と手数料(印紙代)の支払いが必要となります。提出する書類は次の通りです。

書類 備考
申請書
  • 専用の書式
無線局事項及び工事設計書
  • 専用の書式
名簿などの添付資料
  • 団体の規約や代表者を確認できる資料
  • 申請者が任意団体の場合に必要
返信用封筒
  • A4サイズ以上
  • 切手の貼付が必要
  • 直接受け取りを希望する場合は不要

出典:総務省「簡易無線局(CR)免許局のページ」

「申請書」と「無線局事項及び工事設計書」の書式は、総務省のWebサイトからダウンロードできます。免許の申請は無線機1台ごとに行うため、無線機を増設する際も増設として申請手続きが必要です。

また、必要な手数料は次の通りです。手数料の金額は、無線機の出力と申請方法によって決まり、申請書に収入印紙を貼付して支払います。

無線機の出力w数 手数料(郵送での申請) 手数料(電子申請)
1w以下3,550円2,550円
1w超5w以下4,250円3,050円

出典:総務省「簡易無線局(CR)免許局のページ」

手数料はすべて1局(無線機1台)あたりの金額です。申請方法には郵送での申請と電子申請の2種類があり、郵送に比べて電子申請のほうは金額が下がります。

免許局の場合、申請から免許の交付までにはおよそ1か月かかります。申請後すぐに利用できるわけではないので、利用を開始したいタイミングから逆算して申請する必要があります。

また、免許は5年ごとに更新手続きが必要である他、免許人名や住所の変更、事業の継承や廃止の際にも別途手続きを行います。

 

デジタル簡易無線を簡単に利用するには?

通信状態は免許局のほうが安定する傾向にあるとはいえ、近くで他の登録局が多く使用されている、などでなければ登録局でも十分です。 また登録局であれば、レンタルでいつでも手軽に利用することができます。

出典:総務省「簡易無線局のレンタルについて」

ここでは、デジタル簡易無線をレンタルするメリットを解説します。登録局の利用を考える際はレンタルするメリットも考慮し、自分の通信目的や条件では購入とレンタルのどちらが向いているのか検討しましょう。

 

デジタル簡易無線機をレンタルするメリットは?

デジタル簡易無線機をレンタルするメリットとしては、主に下記の点が挙げられます。

・自身での登録申請が不要
デジタル簡易無線機をレンタルすると、利用者自身が個別に登録手続きを行う必要がありません。すでに登録済みの機器をレンタルできるため、書類の準備や提出といった手続きの手間が省け、また登録までにかかる期間を待つこともなく簡単に使い始められます。
・初期費用が安くすむ
レンタルを利用することで初期費用が不要になり、デジタル簡易無線を導入する際のハードルが低くなります。 購入した場合、機器の購入や登録手続きに係る書類作成の手間、手数料などまとまった費用が必要です。一方、レンタルであれば、初期費用の必要もなく、毎月の利用料だけでデジタル簡易無線機を利用できます。
・通信の用途によって機器を変えられる
通信の用途や条件によって機器を変えられるのも、レンタルを利用するメリットの1つです。 無線機にはさまざまな種類があり、たとえばハンズフリー機能など備わっている機能もそれぞれ異なります。購入の場合は通信の用途に合わない場合機器を買い替える必要がありますが、レンタルなら必要なとき必要なものを必要なだけ借りられるので、購入するより気軽に機種の変更ができるでしょう。

上記のように、デジタル簡易無線機(登録局)のレンタルは、免許局と比べて一部利用に制限がかかる部分があるものの、利用開始するための準備の手間を軽減できる方法です。また、必要なときのみ使えるので、期間限定のイベントなどで短期間のみ利用したい場合にはレンタルが向いていると言えるでしょう。

 

まとめ

デジタル簡易無線は1~5km程度の通信距離があり、イベントや警備などでスタッフ間の業務連絡、通信手段としてよく利用されます。利用にあたっては免許局の場合は免許申請、登録局の場合は登録など、それぞれ手続きが必要です。 免許局はチャンネル数が多く通信がつながりやすいものの、登録局に比べて手続きが複雑で無線機1台ごとに申請が必要です。また、レンタルは電波法で認められていません。

一方、登録局は手軽に使え、レンタルすることも可能です。使用する期間が短い場合や、早めに無線機を使い始めたい場合は、デジタル簡易無線のレンタルを検討してもよいでしょう。

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