レントシーバー

トランシーバーの周波数とは?チャンネルとの違いや合わせ方を解説

トランシーバーの使い方に関する基本的な知識をもつことは、無線通信やアウトドア活動において重要です。特に、周波数やチャンネルの概念について理解することは欠かせません。

そこで今回は、トランシーバーの周波数とチャンネルの違いについて解説します。また、周波数を合わせる方法やアナログ無線機で使えなくなる周波数についても紹介します。
トランシーバーやチャンネルの基礎知識を身につけ、スムーズな無線通信を実現しましょう。

 

トランシーバーの周波数とは?

トランシーバーの周波数とは、トランシーバーが電波を送受信するために使用する周波数の範囲を指します。

周波数とは電波の振動数や周期を表す指標で、単位はヘルツ(Hz)です。電波が1秒間に何回揺れるかを表しており、揺れの回数が少なければ周波数は低く、多ければ周波数は高いと表現します。周波数によって電波の伝わり方や情報量が変わるため、無線通信では周波数の選択が重要です。

トランシーバーは、指定された周波数で音声やデータを無線で送受信する装置で、機器同士が同じ周波数を使用している場合に通信が成立します。ラジオを聴くときのように、特定の周波数(例:TOKYO FMの80.0MHz)へチャンネルを合わせることで、情報を乗せた電波を送受信する原理です。トランシーバーでは、主に400MHz帯に当たる帯域の周波数が使用されます。

 

周波数とチャンネルの違い

基本的にトランシーバーの世界において、周波数とチャンネルは同じ概念で扱われます。ただし、それぞれの用語が指す正確な意味は異なります。

周波数は電波の振動数を示す指標です。トランシーバー通信を成立させるためには送受信する無線機が同じ周波数を使用しなければなりません。周波数が同じであれば、異なるメーカーのトランシーバーでも通信が可能となります。

一方で、チャンネルは「422.0500MHz=チャンネル1」「422.0625MHz=チャンネル2」のように、各メーカーが特定の周波数を割り当てて設定したものです。電波の帯域を細かく区切ることで、複数のトランシーバーが混信せず同時に通信できるようになっています。

通信指示を出す際には「チャンネル1に合わせてください」のように、具体的な周波数よりもチャンネルを指定する方法が一般的です。

 

トランシーバーで定められている周波数

周波数は、自分たちが好きな周波数帯を自由に使用できるわけではありません。日本では、トランシーバーや無線機器の種類・分類によって使ってよい周波数が法律で規制されています。定められた帯域以外の周波数を勝手に使用すると、電波法違反になり処罰対象となる可能性があるため注意しましょう。

ここでは、個人や企業が使用できる無線機として代表的な「特定小電力トランシーバー」「簡易業務用無線機」「IP無線機」の周波数について解説します。

 

特定小電力トランシーバー

特定小電力トランシーバーは、その名前の通り小電力で運用される無線機の一種です。「特小」と略されて呼ばれることもあります。出力が低いため通信距離が短く、障害物からの影響を受けやすいことが特徴です。資格取得や免許・登録が不要で誰でも手軽に利用できるため、個人から企業まで幅広く活用されています。

特定小電力トランシーバーで使用される周波数は、下記の通りです。

単信方式
  • 422.200MHz~422.300MHz
  • 422.050MHz~422.175MHz
複信方式/半複信方式
  • 421.8125MHz~421.9125MHz
  • 440.2625MHz~440.3625MHz
  • 421.575MHz~421.7875MHzと440.025MHz~440.2375MHz

※いずれも0.0125MHz間隔で割り振り

単信方式と複信方式の両方を使用できるトランシーバーもあります。

 

簡易業務用無線機

簡易業務用無線機は、特定小電力無線機より高度な機能を搭載しており、出力が大きく広範囲で使える無線機です。使用するためには、総務省へ免許申請もしくは登録申請をします。業務用途に特化した無線機であり、各種ビジネスシーンで活用されています。

簡易業務用無線機で使用される周波数は、下記の通りです。

デジタル簡易無線(登録局)
  • 351.200/351.16875(上空)MHz~351.38125MHz
デジタル簡易無線(免許局)
  • デジタルUHF簡易無線:467.000MHz~467.400MHz
  • デジタルVHF簡易無線:154.44375MHz~154.6125MHz
要免許業務用簡易無線(アナログ)
  • アナログUHF業務用簡易無線:465.0375MHz~468.850MHz
  • アナログ小エリア無線:348.5625MHz~348.800MHz
  • アナログVHF業務用簡易無線:154.450MHz~154.610MHz

簡易無線のデジタル化により、2024年12月1日以降は350MHz帯と400MHz帯のアナログ無線機は利用できなくなります。

 

IP無線機

IP無線機は、インターネットプロトコル(IP)を用いて通信を行うトランシーバーで、通信範囲の広さが特徴です。通常のトランシーバーと異なり、IP無線機は携帯電話やWi-Fiなどのインターネット回線に接続できれば、地球上どこからでも通信可能です。従来の無線機とは異なり、免許申請が不要で誰でも簡単に使用できます。

IP無線機は、1対1の通話だけでなく、大人数での同時通話が容易で混信に強い点も特徴です。また、専用機器以外にもスマートフォンやタブレットなどにIP無線アプリケーションをインストールし、IP無線機として利用することもできます。

IP無線機で使用される周波数は、下記の通りです。

  • Wi-Fi
  • 3G
  • 4G

 

トランシーバーで周波数を合わせるには?

トランシーバーで周波数を合わせる方法は使用している製品の種類やモデルによって多少差があるものの、基本的な手順は同じです。別の機種だと周波数の割り当てが異なる場合も多いため、初めて使用する際は取扱説明書やチャンネル互換表を確認しながら周波数を合わせましょう。

【周波数を合わせる手順】

(1) トランシーバーの電源を入れる
(2) 機器のメニュー設定からチャンネルを選択、もしくはつまみを回して通信相手と取り決めたチャンネルに合わせる
(3) 相手と通信できていることを確認する

周囲で同じチャンネルを使用している人がいる場合、無線通話が混信します。チャンネルを合わせたら受診状態でしばらく様子をうかがうか、「誰も使っていませんか?」などと話しかけて利用状況を確認しましょう。

 

アナログ無線機で使えなくなる周波数

2024年12月1日以降、350MHz及び400MHz帯のアナログ方式の簡易無線局の周波数が使用できなくなります。電波の利用ニーズが高まる中、より効率的で高品質な使用を促す目的としてデジタル方式の導入を推進されたことが、電波法改正の理由です。

本来、アナログ方式の周波数の使用期限は2022年11月30日でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて2024年11月30日まで延長されました。この間、アナログ方式の簡易無線局の免許は、原則として再免許のみ認められています。

従って、現在アナログ簡易無線局を使用している場合は、使用期限までに無線局を廃止するか、デジタル方式の簡易無線局に買い替えるかを選ばなければなりません。また、アナログとデジタル双方の周波数を使用可能なデュアル方式の簡易無線局も、アナログ方式の周波数が使用できるのは2024年11月30日までです。

新規格の特定小電力トランシーバーは引き続き使用可能です。
ただし、アナログ方式の利用終了に伴ってデジタルへ無線設備を変更する場合、アナログ方式の周波数の停波を措置する場合は、無線局への変更申請が必要になります。

詳細については、総務省のホームページおよび各地域の総合通信局などを確認してください。

出典:総務省 電波利用ホームページ「簡易無線局のデジタル化について」

 

まとめ

トランシーバーの周波数とは、トランシーバーが電波を送受信するために使う周波数の範囲です。トランシーバーは特定の周波数で音声やデータを無線で送受信する装置であり、400MHz帯を主に使用します。

周波数の選択は無線通信において重要で、通信が成立するためには機器同士が同じ周波数を使用する必要があります。周波数とチャンネルは同じ概念で扱われますが、チャンネルは周波数を割り当てた番号で表され、通信指示にはチャンネルの指定が一般的です。

無線機器によって使用できる周波数が異なります。トランシーバーの周波数を合わせる方法は製品によって異なりますが、基本的にはチャンネルを選択する手順を経て相手との通信を確認しましょう。

 

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