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電波の使用には料金が必要?電波利用料について詳しく解説

日本では、スマホやテレビ・ラジオといった身近な機器のほか、警察や救急・消防、航空など幅広い分野での無線通信において「電波」が使用されています。ITや無線通信技術が発展する今後は、電波利用のさらなる増大も見込まれるでしょう。

電波は無料で使用できるものではなく、1993年4月から導入された電波利用料制度に基づき、原則として無線局の免許人が利用料を支払わなければなりません。

そこで今回は、電波利用料の概要から主な金額と納付方法まで詳しく説明します。無線機を利用しようと考えている方や、無線機の利用にあたってかかるコストが知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

電波利用料とは

電波利用料とは、電波法の電波利用料制度に基づき、国が無線局免許人から徴収する料金のことです。「電波使用料」と呼ばれる場合もありますが、電波利用料が正式名称となっています。

電波利用料制度は、1992年6月に電波法が改正されたことによって、1993年4月に導入されました。こうした電波利用料制度は日本のみならず、無線局のある世界各国でも導入されています。

電波利用料の支払いが義務付けられるのは、原則として無線局免許を取得し、申請書の提出によって無線局登録を受けたすべての方(事業者)です。具体的には、放送局や基地局、さらに個人が開設するアマチュア局や簡易無線局などが「電波利用料の支払いが義務付けられている無線局」にあたります。

出典:総務省「電波利用料制度の概要」

 

電波利用料が必要な理由

電波利用料制度を政府が導入した目的として、「電波の適正な利用」が挙げられます。

デジタルの発展に伴い、無線通信の利用率は徐々に伸びてきました。一方で、無免許人による無線局の不正使用や、無線設備の不正改造によるほかの無線通信の妨害といったケースもたびたび見られました。

こうした状況を受け、国は混信のない電波環境を守るため、そして能率的な電波利用の促進によって無線局の増加に対応するために電波利用料制度を導入し、無線局の免許人から公平に電波利用料を徴収するようになりました。

現在、すべての無線局の免許人から徴収した電波利用料の使途は、下記が主となっています。

  • 無線局電波監理システムの構築・運用
  • 電波資源の拡大に向けた研究開発費
  • 無線電波のさらなる環境整備費 など

なお、電波利用料の使途として充てられる上記の費用は、まとめて「電波利用共益費用」とも呼ばれます。

出典:総務省「電波利用料制度の概要」

 

電波利用料の金額

電波利用料の金額は、用途によって異なります。また、電波利用料制度は少なくとも3年ごとの見直しが行われており、見直しによって電波利用料の料金が改定されることもあります。

下記は、2023年11月時点における無線局・無線免許ごとの年額料金です。

【電波利用料の1局あたり年額料金(2023年11月時点)】

業務用簡易無線(免許局) 400円
業務用簡易無線(登録局) 個別登録 400円
包括登録 400円
デジタルMCA無線 150円
MCAアドバンス 360円
一般業務用無線機 400円
アマチュア無線 300円

出典:総務省「電波利用料 料額表(令和4年10月1日改定)」

注意すべきは、上記の料金はすべて「1局あたりの額」となる点です。たとえば複数の一般業務用無線機を利用している事業者の場合、契約台数分の年額料金を負担しなければならないため、合計で見ると膨大な支出額となります。

なお、国や独立行政法人が開設している無線局は電波利用料の対象外です。また、自治体による消防・防災向けの無線など、公共的かつ利便性の高いサービスを提供する事業については電波利用料の減免措置が適用されます。

 

電波利用料を納付しなかった場合はどうなる?

電波利用料の支払いを義務付けられているにもかかわらず、電波利用料を期限内に納付しなかった場合は、電波法違反とみなされます。

催促状での支払い催促が行われてからすぐに電波利用料を納付した場合は特にペナルティは発生しませんが、催促状が届いてもなお納付しなかった場合は督促状が送付され、その際には年14.5%の割合で算出された延滞金が発生します。

また、督促を受けても納付しなかった場合は、財産の差し押さえや強制徴収が行われることがあります。無線を利用できず業務が滞る可能性も高いため、必ず期限内に納付するよう心がけましょう。

 

電波利用料がかからない無線の種類

電波利用料は、原則としてすべての無線局の免許人に支払いが義務付けられており、業務用無線を利用する多くの事業者が毎年納付しています。しかし、業務用無線の中でも「特定小電力トランシーバー」は電波利用料が発生しません。

特定小電力トランシーバーとは、特定小電力無線局による電波を使用する近距離通信用の無線機の1つです。使用電波の送信出力は0.01ワット以下と極めて低いことが特徴で、免許や無線局の登録申請手続きの必要がないため電波利用料も不要となっています。

なお、電話回線を用いて通信するIP無線機には電波利用料がかかりませんが、代わりに各携帯キャリアが定める利用料金が必要です。

 

電波利用料の納付方法

電波利用料の納付は、無線局に免許を登録した日から約1週間後に納入告知書(納付書)が総務省より送付され、その後免許登録日を基準として毎年送付されます。電波利用料の納付方法には、主に下記の4つがあります。

  • 銀行・郵便局の窓口やコンビニで納付する
  • インターネットバンキングを利用して納付する
  • まとめて前納する
  • 口座振替で納付する

納付方法によっては、事前の手続きが必要となるものもあるため、あらかじめどの方法で納付したいかを考えておきましょう。ここからは、それぞれの納付方法について詳しく説明します。

 

銀行・郵便局の窓口やコンビニで納付する

電波利用料の納付は、銀行・郵便局の窓口やコンビニのレジでも可能です。

銀行・郵便局の窓口やコンビニで納付したい場合は、送付された納入告知書に記載されている納付可能な金融機関・コンビニ一覧をまず確認したうえで、定められた電波利用料を対象となる店舗へ期限内に持参・納付しましょう。

また、納入告知書はミシン目によっていくつかの段に分けられています。銀行・郵便局の窓口やコンビニで納付したい場合は、ミシン目のついた部分を切り離さないよう注意してください。万が一必要な部分を切り離してしまった場合、納入告知書を再発行しなければなりません。

なお、納入告知書の裏面にバーコードが印字されていない場合は、コンビニでの納付ができないことにも注意が必要です。

 

インターネットバンキングを利用して納付する

金融機関のインターネットバンキングを利用し、自身の口座から間接的に引き落とす形で電波利用料を納付するという方法もあります。金融機関やコンビニなどにわざわざ出向く必要なく、さらに時間帯を問わず納付できることから、忙しい方にもおすすめです。

しかし、インターネットバンキングを利用して納付するには、インターネットバンキングによる納付が可能な金融機関での口座開設に加え、スマホ・パソコン上での操作が必要となります。スマホ・パソコン操作に慣れていない方は、やや難しい作業となるでしょう。

また、電子納付の場合は領収書が発行されません。領収書が必要な場合は、窓口納付を選択しましょう。

 

まとめて前納する

電波利用料は、無線局に免許を登録した日を基準として納入告知書で毎年請求されるという形が基本ですが、事前に数年分の電波利用料をまとめて納付することも可能です。こうした納付方法は、「前納」と言います。

毎年の納付が煩わしい場合は、まとめて前納するのがおすすめです。しかし、前納する場合はあらかじめ「前納申出書」による別途申し込みが必要となります。

前納申出書の様式は、総務省の「電波利用ホームページ」から無料でダウンロードできます。氏名・名称や無線局種別といった必要項目を記入したのち、無線局の免許状に記載された総合通信局などに提出しましょう。なお、提出は郵送でも可能です。

 

口座振替で納付する

窓口での納付や前納が煩わしい場合は、口座振替での納付がおすすめです。口座振替は、無線局の免許人が指定した金融機関の口座から自動的に電波利用料が引き落とされるという方法であり、電波利用料の納付に際する手間が一切かかりません。

しかし、まとめて前納する方法と同様に、口座振替で納付するためには事前の手続きが必要です。口座振替を希望する場合は、まず無線局の免許状に記載された総合通信局などに問い合わせて専用の申込書を請求します。送付された申込書の必要項目を記入したのち、再度総合通信局に送付することで、口座振替による納付を開始できます。

なお、口座振替で納付する場合は前納ができない点に注意しておきましょう。

 

まとめ

1993年4月に導入された電波利用料制度によって、すべての無線局の免許人は原則として電波利用料を支払わなければなりません。電波利用料の金額は、用途によって異なり、1局(もしくは1台)ごとに料金がかかることを覚えておきましょう。

なお、業務用無線の中でも特定小電力トランシーバーやIP無線機は電波利用料がかかりません。しかし、IP無線機はキャリア料金が必要となります。

電波利用料の納付方法には、銀行・郵便局の窓口やコンビニでの納付、インターネットバンキングを利用しての納付のほか、まとめて前納、口座振替での納付など複数あります。最も手間がかからないのは口座振替による納付ですが、事前の手続きが必要な点・前納とあわせての取り扱いができない点に注意しておきましょう。

 

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