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キャリアセンスとはどのような仕組み?機能がない無線機の種類も紹介

デジタル簡易無線登録局に登録された無線機では、同一周波数同士の混信を防止するために「キャリアセンス」という機能が付加されています。キャリアセンスが発生した状況では無線でのやり取りがスムーズに行えなくなり、業務に支障をきたす可能性もあるでしょう。

当記事では、キャリアセンスがどのような仕組みなのかに加えて、キャリアセンスと関連深い「デジタル簡易無線登録局」の基本情報、さらにキャリアセンスを起こさない無線機の種類について詳しく説明します。業務を円滑に進めるべく最適な無線機を選びたいという方は、ぜひ参考にしてください。

 

キャリアセンスとはどのような仕組み?

キャリアセンスとは、データ送信時に他無線端末が自チャンネルを使用していた場合、同一周波数での無線通信を制御することによって干渉を回避する仕組みです。

デジタル簡易無線登録局の無線機に義務付けられている「干渉・混信を防ぐための機能」であり、電波法で定められた規制措置となっています。「搬送波(キャリア)」を検知(センス)することから、キャリアセンスと呼ばれています。

キャリアセンス機能のついた無線端末の場合、同一周波数ですでに通信があれば、キャリアセンスが発生して送信ボタン(PTTスイッチ)を押しても送信処理がされず、無線でのやり取りが行えなくなります。

デジタル簡易無線登録局に登録された無線機は、機種やメーカーが異なっていても使用するチャンネル数・周波数は同様です。多くの企業が無線機を用いてスタッフ同士のやり取りを行うイベント会場などでは、このキャリアセンスが発生しやすくなります。

キャリアセンスは一時的な問題であり、一定時間が経過したのち再度通信を試みるか、チャンネルを変更することでやり取りを再開させられます。しかし、たとえ少しの時間であってもインカムでの通信に支障がきたせば、業務もスムーズに進められなくなるでしょう。

 

キャリアセンスと関連深いデジタル簡易無線登録局

キャリアセンスは、デジタル簡易無線登録局に登録された無線機で発生します。また、デジタル簡易無線には登録局のほか免許局の2種類があり、外見上ではほとんど見分けがつかないものの、キャリアセンスの発生有無をはじめとしたあらゆる違いが存在します。

キャリアセンスと関連深いデジタル簡易無線登録局
登録局 免許局
キャリアセンスの有無ありなし
使用できる区域全国の陸上および
日本周辺海域
全国の陸上日本周辺海域、
および上空
全国の陸上全国の陸上
および日本周辺海域
チャンネル数30チャンネル5チャンネル65チャンネル19チャンネル
(+音声除く9チャンネル)
周波数350MHz帯150MHz帯
または400MHz帯
免許の必要性
  • 免許は不要
  • 登録申請および開設届が必要
  • レンタルの場合はレンタル業者が
    登録申請・開設届の提出をするため
    利用者は手続き不要
  • 1台ごとに免許取得が必要
用途業務使用またはレジャー使用業務使用
レンタルの可否不可

デジタル簡易無線登録局は業務使用だけでなくレジャーでも使用できる一方で、免許局は用途が業務使用に限られており、簡易な業務または個人的用務でしか使用できません。また、キャリアセンス機能がついているのは登録局で申請された無線機のみとなっています。

ここからは、キャリアセンスと関連深いデジタル簡易無線登録局についてより詳しく説明します。

 

登録局の無線機は使える周波数・チャンネル数が少ない

登録局の無線機で使用できる周波数は350MHz帯、チャンネル数は5チャンネルまたは30チャンネルと、免許局と比較して少ないことが特徴です。

周波数・チャンネル数が少ないほど、混信の可能性は高まります。したがって、無線端末数が膨大となる大規模なイベント会場などでは、通信が干渉し合うことによって一時的なキャリアセンスが発生しやすくなります。

 

登録局の無線機は免許がなくても使用できる

登録局の無線機は、使える周波数・チャンネル数が少ない一方で、免許がなくても使用できるという手軽さが魅力です。免許局の無線機は利用の際に免許の取得が求められますが、登録局の無線機を利用する際は登録申請と開設届を提出すれば利用できます。

登録局の申請手続きは、無線機商品に同封された申請書類を説明に沿って記載し総合通信局に郵送することで行えます。レンタルサービスを利用する場合、レンタル業者が申請を代行するため、登録の必要はありません。

 

登録局の無線機は用途が幅広い

登録局の無線機は用途が幅広く、業務だけでなくレジャーなどでも使用されています。デジタル簡易無線の具体的な利用シーンには、下記が挙げられます。

  • 製造業
  • 警備業
  • 建設業
  • 物流センター
  • ホテル
  • スカイスポーツ
  • 自治体・管理組合
  • イベント会場

工場や建設現場などの業務では、従業員同士のやり取りに活用でき、スカイスポーツなどのレジャーシーンにおいては仲間同士の安否確認などに活用できます。また、オフィスのBCP対策として、緊急時の通信網を確保できるよう登録局の無線機を備えているケースもあります。

 

登録局の無線機はレンタルできる

登録局の無線機は、本人以外の利用も認められています。そのため、レジャー目的などで無線機が必要となった際は、わざわざ無線機の購入・利用手続きをしなくてもレンタル無線機を使用すればよいという点も大きな魅力です。

無線機のレンタルであれば、購入費・維持費・修理費といったコストを大幅に抑えられます。「複数台の無線機を導入したいものの予算がない」「レジャーイベントに無線機を取り入れたいものの、不定期開催なため購入に至るほどの需要はない」という方にとっては、最もおすすめの選択と言えるでしょう。

値段だけで決めない!無線機レンタルの選び方

 

キャリアセンスを起こさない無線機の種類

キャリアセンス機能が搭載されていない無線機を使用すれば、キャリアセンスの発生によって一時的に通信ができなくなることを防げます。多くの無線機の利用が想定されるシーンにおいては、キャリアセンスを起こさない無線機を利用することがおすすめです。

そこで最後に、キャリアセンスを起こさない無線機の種類を3つ紹介します。

 

特定小電力トランシーバー

特定小電力トランシーバーは、送信出力が0.01W(ワット)以下と小さく、通信距離が比較的短い無線機です。安価に購入・レンタルできるほか持ち運びのしやすいコンパクトなサイズが特徴的で、医療・福祉や飲食店、アウトドア施設などさまざまな業界で活躍しています。

特定小電力トランシーバーの利用時に免許や登録申請は不要であり、基本的にキャリアセンスは搭載されていません。ただし、近距離で使われているほかの特定小電力トランシーバーと同一のチャンネル・周波数を使用した場合は混信が起こりやすい点も注意しておきましょう。

 

免許局で免許を取得した簡易無線機

免許局の簡易無線は周波数・チャンネル数が多いため混信が起こりにくく、キャリアセンス機能もありません。一時的な通信障害の影響を受けることが少ないため、多くの無線機が使用されるシーンにおいても安定したやり取りを維持できます。

しかし、免許局の無線機を利用するにあたっては免許の取得が必要です。加えて、業務使用のみに用途が限られているほかレンタルも不可と、制約が多い点に注意しておきましょう。

 

IP無線機

IP無線機とは、携帯電話の通信回線(キャリア回線)を用いて通信する無線機のことです。IP無線機の「IP」は「Internet Protocol(インターネット・プロトコル)」の頭文字をとった略称であり、携帯電話の通信網を伝送する仕組みを指します。

携帯電話は、キャリアと呼ばれる通信事業者ごとに異なる周波数が割り当てられているほか、多重通信技術によって専用の周波数帯域を使用できます。そのため、IP無線機は従来の無線機と違って通信距離が非常に長く、遮蔽物による影響も小さいだけでなく、混信やキャリアセンスが起きることもありません。

また、IP無線機は特定小電力トランシーバーと同様、利用に際した免許や登録申請が不要で、非常に使いやすいことも魅力の1つと言えるでしょう。

 

まとめ

キャリアセンスとは、同一周波数における通信の干渉や混信を防ぐための機能であり、電波法によってデジタル簡易無線登録局に登録された無線機に義務付けられた規制措置です。

登録局の無線機はキャリアセンスが発生しやすい一方で、活用シーンの幅広さ・利用しやすさに魅力があります。なお、免許局の簡易無線機や、免許取得・登録申請の必要がない特定小電力トランシーバー、IP無線機はキャリアセンスが発生しません。

株式会社レントシーバーでは、特定小電力トランシーバー・IP無線機をはじめとした無線機のレンタルサービスを提供しております。「キャリアセンスの発生しない無線機を気軽にレンタルしたい」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

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